清遠短歌会(作品)

清遠11月短歌会(第521回)

一、にび色の雲は地上に垂れさがり秋のしじまを破るのは何    関口 礼子
二、雨雲が覆った空をドクターヘリひとつの命救わんと飛ぶ    鈴木 きせ
三、色づいた木の葉が描く油絵に鱗の雲で広がるキャンパス      山内 瞳
四、木もれ日に雲井の滝を見上げればしぶきの虹が吾れをつつまん 岩川 正夫
五、雲上に突き出た山の「男神岩」クマ出没の看板あれど     山本 光雪
六、吹き吹かれ濡れ揺れながら草木はひたすらに耐ゆ天は群雲   東山 貴子
七、神々のあそぶ紅葉の大雪山へあくがれ託すながるる雲に    高田 八重子
八、歓声の中せり上がる雲龍型厚きししむら赤らみおびゆ     平島 正義
私の好きな一首 小倉百人一首 参議雅経           (鈴木 きせ)
 み吉野の山の秋風さ夜ふけてふるさと寒く衣うつなり

清遠10月短歌会(第520回) 平成29年9月9日(土) しるばにあっぷる

一、プロ入りに熱きを語る清宮君ホームランの夢共に繋がん    関口 礼子
二、城跡のかがり火に映える薪能 平安の世へ我を誘う        鈴木きせ
三、四季のリレーバトンを渡すタイミングのがし戸惑う秋の間際で 山内 瞳
四、健診の結果と数値の現実に納得もしたり覚悟もしたり     岩川 正夫
五、天を突く仏ケ浦の岩仏 鬼の手創りあの世へ続く         山本 光雪
六、ひとり居の庭に一羽のすずめさへ珍客として語りかけたり   田村 千代子
七、盃に月をうつして愉しむとう紫式部にゆかりの都       東山 貴子
八、なつかしむやふ翔びめぐる鳳蝶とテレパシー交はす秋のさ庭辺 高田 八重子
九、割り切れぬ人寰に住めり  √2は「一夜一夜に人見ごろ ・ ・」  平島 正義
私の好きな一首
小倉山峰のもみぢ葉心あらば今ひとたびのみゆき待たなむ  貞信公(山内 瞳)

 

清遠9月短歌会(第519回) 平成29年9月9日(土) しるばにあっぷる

一、戦中・戦後ななたりの子育てたる母の柩に生花をそへたり     関口礼子
二、長雨に夏らしき日の少なくて蜩の声ふと恋しかり         鈴木きせ
三、あけがたにJアラートの鳴り響きこころから祈る世界の平和     山内 瞳
四、玄関に一筆そえた夏野菜ひえ込む朝のひとの温もり                        岩川正夫
五、脳みそも心臓もなく漂えるクラゲのように生きたし吾は      山本光一
六、梅雨明けもさだかにあらず冷夏つづくおひるのうどん少しぬくめて 田村千代子
七、心うきひと日の外出は胸内に秘めておかなん笛の一管       東山貴子
八、名月の兎の餅は不老長寿といにしへ人の浪漫あふぐも       高田八重子
九、ももとせの苦楽つむぎし母なればま白き蓮華まとひて逝かな    平島正義
私の好きな一首
水急なれど月を流さず風吹けど動ぜず天辺の月  鎌倉  報国寺  住職 菅原 義道(岩川正夫)

 

 

清遠8月短歌会(第518回) 平成29年8月12日(土) しるばにあっぷる

一、高カロリー・酸素・輸血にたよりつつ老いゆくたらちねひと日は暮れぬ 関口礼子
二、梅雨晴れに紫蘇の葉揉む手の力なし来年漬ける梅を危ぶむ       鈴木きせ
三、猛暑日に汗かき耐えたご褒美か金色メダルの月うかびおり       山内 瞳
四、外孫の選びし道は加州大学祖父の遺志継ぐ旅立ちの秋         岩川正夫
五、祭おわり格子にからむアサガオと風鈴ゆれるコーヒータイム      山本光一
六、庭の樹々せんていされてそら高し冷茶かたての庭師の目線       田村千代子
七、命あるものへの無惨草をひくわれの頬打つ草丈高し          東山貴子
八、月山に登り参りし恩寵かも百賀むかへし友の便りに          高田八重子
九、対ひあふ金魚二匹の吹く泡のプクプク弾みおしゃべり続く       平島正義

 私の好きな短歌 

 マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや
                       『寺山修司歌集』 (山本光一)

 

清遠7月短歌会(第517回)題詠一首

一、繁みより黒揚羽飛ぶ朝の庭息をひそめてしばし目遊ぶ                      関口礼子
二、万緑の猊鼻渓流舟下り船頭さんの歌にききほれて                            鈴木きせ
三、雨上がり誘い上手に薫るバラ 魅せられて酔う蝶・蜂・私                  山内 瞳
四、突然に妹逝きし春三月夢で語りぬ百箇日の朝                                  岩川正夫
五、続行す歩く仲間の心意気  第四十回の十和田湖ウォーク                    山本光一
六、うつくしき誤算のひとつ丁寧に今日を生きなむ九十半ば                   田村千代子
七、ローヒールなれどすっくと立ちたればハイヒールの音聞こえる心地     東山貴子
八、春たけてこころの干潟いやしける庭にさきつぐ蛍ぶくろは                高田八重子
九、つややかな棘を誇れる緋き薔薇    愛染明王おもほゆ夕べ                  平島正義
 朝食抜きの身すぎの過去もうらがなし愚直なる肉むしろ肥えにき       「本保與吉」 (田村千代子)
         

清遠6月短歌会(第516回)題詠一首
  平成29年6月10日(日)10時 しるばにあっぷる

一、初咲きの芍薬剪りてま水さし夫に供へむ百ヶ日の朝            関口礼子
二、八甲田の雪解け水を手で掬い友と飲みしは遠き思い出           鈴木きせ
三、梅の実のうぶ毛に纏う水の膜自然がくれる初夏の宝石                             山内 瞳
四、日溜りに白の烏帽子が競い合い命咲き交う水芭蕉の群れ                          岩川正夫
五、けもの道カツラの根元に湧く水の甘露をふふみ疲れを癒やす                    山本光一
六、太平洋・十和田湖・なみだ・今日の雨題詠「水」を詠むあたはざり           田村千代子
七、一杯の喉をくだる朝の水五感を醒まし今日の始動す                                東山貴子
八、匂玉は月の変若水と愛しめしをみな顕ちくる明けの空より                       高田八重子
九、きよらかにコップ一杯に保ちたる水平冷たく咽喉うるほす                       平島正義
私の好きな一首                             (東山貴子)
清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき  与謝野  晶子

清遠5月新年短歌会(第515回)雑詠  平成29年5月14日(土)10時 

一、まんまろの夕日は朱に染まりたり春の小径のわたしを照らす          関口 玲子
二、過疎の村となりし古里訪ぬれば会う人もなく辛夷咲く空            鈴木 きせ
三、儚げな春のひととき惜しみつつ花見の紅茶に花びら浮かす           山内 瞳
四、五月晴れつい誘われて散策に浮かぶ言葉を指にかぞえて            岩川 正夫
五、竹林を後背にしていにしえの色をそのまま「雪村の桜」            山本 光雪
六、春らんまんさくらの季に受けし生「四月二十五日」と母は語りき        田村 千代子
七、古家に立つ煙突のま新し生業をつぐ若きのしるし               東山 貴子
八、雨はれし庭の双葉の四、五本は復活したる行者大蒜              高田 八重子
九、しく・しから・しかり・し・しかる・しき・しけれ・しくしく桜散りしきるべし 平島 正義 
私の好きな一首  斎藤茂吉 小園(斎藤茂吉料理歌集)
 胡桃あへしたるたらの芽あぶり熬りにしたるたらの芽山人われは         (高田八重子)

清遠4月新年短歌会(第514回)題詠  平成29年4月18日(土)10時 

一、蕗の薹庭にさがせり摘む朝さみどり匂ふ手の掌三つ          関口 玲子
二、さくら色マニキュア塗っただけなのに行ってみたくなり華やぐ街に   鈴木 きせ
三、さだまらぬ春浅き日のアールグレイ淹れて和らぐいつもの香り     山内 瞳
四、寒もどり名残りの雪に負けまいと道べに萌える蕗のとう映ゆ      岩川 正夫
五、なんという静けさなのか十和田湖は春まだ遠く眠っていたり      山本 光雪
六、戦に若き日は過ぎ今日を生くうれいなくあれ桜花咲きそむる      田村 千代子
七、あやかしの森のなごりは古井戸に釣瓶のこる「舘越」疎林       東山 貴子
八、測量の始まるとなりの草はらの夜露に啼きし邯鄲こほし       高田 八重子
九、カウンターにスコッチ酌みゆくこの夜はふつふつと沸きくる失踪願望  平島 正義 
私の好きな一首                              (平島正義)  
 夜半さめて見れば夜半さえしらじらと桜散りおりとどまらざらん 「雪鬼華麗」 馬場 あき子   

清遠3月新年短歌会(第513回)題詠  平成29年3月18日(土)10時 

一、夫が忌に花をあがなひ帰る路 弥生の空のあかるさにあふ       関口 玲子
二、ねこやなぎ芽吹くを待たず逝きし姉小雪舞う朝一人静かに     鈴木 きせ
三、新緑の芽吹待おり湯を注ぐカップに赤く咲く工芸茶        山内 瞳
四、ごだげの湯夜のしじまの露天風呂の石枕辺に湯音が語る      岩川 正夫
五、三月の十一日にゴスペルの歌とどけよと雪ふる海に        山本 光雪
六、かがり火のほのほまきあげ杁の高校生の摺りのいきほひ      田村 千代子
七、ひとひらがふたひらみひら雪片に日差し明るし春への散華     東山 貴子
八、雪空へ庭より翔べる鵯鳥のねむりは浅し枇杷の固葉に       髙田 八重子
九、ポケットにフシギなカタチ潜みゐて指先にふるるクリップひとつ  平島 正義
「私の好きな一首」                       (鈴木 きせ)
 あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る  額田 王 (万葉集)

清遠2月新年短歌会(第512回)題詠  平成29年2月11日(土)10時 

一、黄泉路への戒名賜り旅立ちぬ凍てつく径みちおしづかに      関口玲子
二、手を上げて園児等渡る横断歩道車を止めてしばし見守る      鈴木きせ
三、お紅茶の「東方美人」目覚めさせ 過ごす至福のビューTEAタイム  山内 瞳
四、先々の生きるよすがの徒然を三十一文字に思いつづらん       岩川正夫
五、氷割り寒しじみ採る十三湖に雪もちらつき吐く息白し        山本光雪
六、曲り屋とかっぱの「遠野物語」旅の一夜をあつかんに酔ふ      田村千代子
七、雪予報春はあやうし六華の舞細雪にかあるいは吹雪        東山貴子
八、まどのべの星宝貝もききゐむかしほさゐの香とふりしきるゆき    高田八重子
九、タンクよりこぼれし灯油新聞紙に生の翳のごと滲みてゆけり     平島正義
「私の好きな一首」(岩川正夫)

稽古とは一より習い十を知り十よりかへるもとのその一  千利休

清遠1月新年短歌会(第511回)題詠  平成29年1月14日(土)11時 金剛

一、百歳まで命の山坂越えし母酉どし祝うか庭の山鳥        関口玲子
二、古希迎へ今年の抱負尋ねられ即座に答ふ短歌とカラオケ     鈴木きせ
三、新年の願いを詰めた重箱はやまとこころの宝の箱よ       山内 瞳
四、一本のタスキにかけた青春に我も重ねて箱根駅伝        岩川正夫
五、十和田湖のみそぎの郷の白龍の社に雪は積もりて止まぬ     山本光雪
六、初日の出階上岳の稜線あざらけし大正昭和平成を生く      田村千代子
七、さりげなく長針短針あいよりて淡々と過ぎ年あらたまる     東山貴子
八、初日さす庭の松の雪その雫てのひらにうけ若水とすも      高田八重子
九、はたた神鋭き一閃離り行きはやこの街も極月に入る       平島正義
「私の好きな一首」(岩川正夫)

田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ  山部 赤人

前列左から 高田八重子、田村千代子、平島正義、 上段左から 東山貴子、鈴木きせ、岩川正夫、山本光一
2017年 新年歌会 金剛 (欠席者 関口玲子、山内 瞳)

清遠12月短歌会(第510回)題詠  平成28年12月10日(土)10時 しるばにあっぷる

一、いつか見しアメリカ峡谷キャニオンのインディアン住むとふいにしへを知る   関口 玲子
二、色づいた落葉に積もる雪の白つめたく色を引き出すように                       山内 瞳
三、年毎に重荷仕事は身にこたえ今年は屋根に雪止めすげる                            岩川 正夫
四、残照の樹齢千年公孫樹の黄葉散りて初雪積もる                          山本 光雪
五、仏像の初刀一刀氏の心境おもひはかりつしんしんと雪                   田村 千代子
六、待ちわびる雪ひとひらの舞もなく雨がすうてき七五三の今日                      東山 貴子
七、天空の椅子におはせるひともへば言霊のふる淡雪のふる                    髙田 八重子
八、 冷えしるき辞書をさぐれる雪の夜は凹凸の文字の裡なる起伏                     平島 正義
「私の好きな一首」 山本 光一 
 海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手をひろげていたり
                             寺山 修司

清遠11月短歌会(第509回)詠草  平成28年11月12日(土)10時 しるばにあっぷる

一、この雨が雪になるらし今朝の冷え病魔のごとく体重たし                   関口 玲子
二、公園のおちばの手紙ひろい上げ秋の味覚の訪れ気付く                      山内 瞳
三、麗れいと関根の松は端座して四百年の刻を形に                               岩川 正夫
四、にしき絵か飛沫は虹に変わりたり空より落つる双竜の滝                   山本 光雪
五、錦繍の十和田湖畔や友どちと「湖畔の乙女」ハミングしつつ             田村 千代子
六、鳳の飛翔としばし仰ぎみる高天をわたる白雲の相                            東山 貴子
七、無花果の甘さルビーの実の柘榴なつかしもあの広島の生活                髙田 八重子
八、朝日浴び輝きませる蜘蛛の巣のあな美しき罠の幾何学                      平島 正義
「私の好きな一首」 田村千代子 
 観覧車回われよ回われ想ひ出は君には一日我には一生    
                             栗木 京子

清遠10月短歌会(第508回)詠草  平成28年10月8日(土)10時 しるばにあっぷる

一、猫じゃらし色も軟らにほどけつつ穂のちいさきを秋風揺らす     関口玲子
二、掴めない気温変化をうとみつつ時に間違え夜中の後悔        山内 瞳
三、いくえにも壁乗り越えし戦士たちパラの活躍を涙して見る      岩川正夫
四、津軽路の千本鳥居くぐりぬけ狐の化身か妖女の石像         山本光雪
五、故人との会話しばしもせんこうのけむり直ぐたつおひがんの入り   田村千代子
六、さわぎたつ心にありしときに思う「一つ湖」峰子氏のうた      東山貴子
七、さそり座のアンタレス恋ふやひとつぶの赤き実たもつ庭の浜茄子   高田八重子
八、「一月の川」なるリオデジャネイロ   眺めてゐたり長月の川     平島正義
      「私の好きな一首」 東山貴子
       誰にも侵させはせじ冬の日もまなうらに置く一つ湖     
                             奈良 峰子歌集より

清遠9月短歌会(第507回)詠草  平成28年9月10日(土)10時 しるばにあっぷる

 一、おみなへしあかき薄穂たづさへて秋色ひかる妹の訪ひ来         関口玲子
二、災害時錆びた電池を取り替えて気づかぬ日々に感謝を灯す       山内 瞳
三、ブラジルで伊調馨は名にし負う思いのたけを四ツ葉に咲かす      岩川正夫
四、「森の神」霧の中よりあらわれぬヴィオラの調べながれる森に     山本光雪
五、函館の歌の友たづね師のきみと詠みたかりにし恵山のつつじ      田村千代子
六、血族は童までもが刎ねられる古事をおもえり草の芽ひきつつ      東山貴子
七、四方の空バラの雲々の「山の日」を羽ばたかせたりこころの翼     高田八重子
八、寄りそへる若きカップル眠らしむローカル腺行く潮風吸ひて      平島正義

 

「私の好きな一首」 高田八重子
ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲        佐佐木 信綱  

清遠8月短歌会(第506回)詠草  平成28年8月6日(土)10時 しるばにあっぷる

 

一、ジャスミンの香りゆたかに咲く朝に訪ひ来る人に切りてもたせむ      関口玲子
二、菜園の虫に刺されてトマトより先に色付くかゆき我が足        山内 瞳
三、都知事選あまたの候補きそえしが都の庭に百合の花咲く          岩川正夫
四、その人の命の止まる瞬間に立ち会うことの運命なるや         山本光雪
五、嫁の祖母の九十七才の往生をほめつつ静かに焼香にたつ            田村千代子
六、メドツのこと呪いのことも忘れられ昔をしずめのこる古井戸      東山貴子
七、潮風にたてがみなびかせ駆けてくる野生馬顕つも種差の夏       高田八重子
八、レモン水・ラムネ・サイダー・炭酸水・クリームソーダ 夏弾けゆく   平島正義


「私の好きな一首」  平島 正義
   たとえば君ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか   河野 裕子            

清遠7月短歌会(第505回)詠草  平成28年7月9日(土)10時 しるばにあっぷる

 

一、梅雨冷えをほろりほろりと夏椿白の残生土にこぼれり         関口玲子
二、茶の道に入りて心にひびきくる「花一輪に飼い慣らされる」      山内 瞳
三、しずけさと若葉にしみいるセミの声腰を休めて森にとけこむ      岩川正夫
四、雷と風雪に耐え幾百年名久井岳山頂の孤高の杉よ           山本光雪
五、にちにちの減りは見えねどせっけんは確実にへる 脳のおとろへ      田村千代子
六、この宇宙に一片の塵の人体かミクロコスモス細胞37兆個         東山貴子
七、宇宙の旅人となりし君なりきあふぐわれらの掌に星ぼしを       高田八重子
八、楕円なる軌道にめぐる星のあり人は近づきまた遠ざかる        平島正義


「私の好きな一首」 
雨やみてあぢさゐの藍みなぎれる藍の珠より満ちてくる刻   
                      雨宮 雅子          山内 瞳 

清遠6月短歌会(第504回)詠草 平成28年6月11日(土)10時 しるばにあっぷる

 

一、言の葉を拡大鏡で探しをり辞書をめくりつ老いを寂しむ         関口玲子
二、暑さゆえ天に向かうと芽を出すが伸びるか否か戸惑う緑         山内 瞳
三、歳ほどに短歌の習いもこと足りず夜更けにそっと言葉さがせり      岩川正夫
四、谷底の原始の森に待っていた千本カツラ空に聳えり             山本光雪
五、日常の平らに小さき風たちてドライブの窓にこんぺきの湖            田村千代子
六、遊というなんと素敵なこの言葉忙中の閑と合わせておもう        東山貴子
七、初音より透きとほり啼く呼子鳥明けのさ庭にたたづみにけり         高田八重子
八、雷鳴のさかるる夜半を読みさしの頁に栞はさみ眠れり                平島正義

「私の好きな一首」 岩川正夫

たはむれに母を背負ひてそのあまり軽きに泣きて三歩あゆまず   

               「一握の砂」より  石川 啄木  

清遠5月短歌会(第503回)詠草 平成28年5月14日(土)10時 しるばにあっぷる

 

一、風立ちて散りぼふ桜をおさな子は両手をひろげ追いつつ遊ぶ       関口玲子
二、柔らかな陽射しになれど山よりの風色づきて白きマスクを        山内 瞳
三、みぞれ降る寒のもどりに水仙は命ふるわせ北風にたつ          岩川正夫
四、水きよしカタクリ二輪風にゆれ何を語るや光をあびて            山本光雪
五、若さゆゑそむきし人の栄光を紙上に知りぬ春のけあらし             田村千代子
六、ときの便りはこんで風は沈丁花の香りとどける隣家の庭より       東山貴子
七、ひとすじの白雲 あれはサモトラケのニケの翼の風切羽かも         高田八重子
八、風ひと夜吹き狂ひたる春の修羅椿は赤き花散らしたり                平島正義

「私の好きな一首」 山本光一

不来方のお城の草に寝ころびて空に吸はれし十五の心  「一握の砂」より  石川 啄木  

清遠4月短歌会(第502回)詠草 平成28年4月19日(土)10時 しるばにあっぷる

 

一、いちばんの春の匂いを風にのせ庭面に咲ける黄なる水仙         関口玲子
二、いく筋も空に引きゆく飛行機雲あらたなスタート祝うかのよう      山内 瞳
三、日韓のはざま遮るいばら道融和の先に灯火の花             岩川正夫
四、みぞれ降る庭に咲きたるひとむらの悲しからずやキクザキイチゲ     山本光雪
五、春らんまん四月二十五日に生まれし女のこ九十二年の命をつなぐ     田村千代子
六、一葉の春の便りに浮きたちてはよも飛ばんと花食い鳥は         東山貴子
七、むらさきのいちげさく庭の白鶺鴒モノクロームの夢より逃げて      高田八重子
八、決定的あやまりの語句いはれ来て夕のビールの苦がかりし泡       平島正義

「私の好きな一首」 田村千代子

幾山河越えさり行かば寂しさの終てなむ国ぞ今日も旅ゆく    若山 牧水     

清遠3月短歌会(第501回)詠草 平成28年3月12日(土)10時 しるばにあっぷる

 

一、子供らの大黒舞もおどりゃんせ扇子はなやぐ雪降る街で         関口玲子
二、イチイの実赤く熟れるをふくむ口 姑と夫はかくも似るもの         渡辺暁美
三、近代化あらゆるものが消えていく「色即是空空即是色」         山内 瞳
四、英霊を迎えの旅にか両陛下此島の雨も微笑みて止む           岩川正夫
五、まっくらな穴の底へと落ちていく もがき苦しむ真夜中の夢         山本光雪
六、会ふすべを考えつつも日々はすぎその人の名は黒わくの         田村千代子
七、盃中に富士は大らかその盃を酌む人もまたまことたのしげ        東山貴子
八、寒ざむと二月二十九日すぎゆけり大山蓮華の花たたしめて        高田八重子
九、梅の枝に誘わるるまま伸ばしたる両腕の丈のたがひふと知る       平島正義
「私の好きな一首」 東山貴子
  天つ風雲のかよひ路吹きとぢよをとめの姿しばしとどめむ 僧正遍昭  

 

清遠2月500回記念歌会(第500回・41年間)詠草平成28年2月14日(日)11時 金剛

 

一、毎食をプロセッサーで軟らにし九十九才の母の為とぞ          関口玲子  
二、水野辺を優雅に泳ぐ白い鳥われの姿は着膨れペンギン          山内 瞳

三、ゆく年に思いを刻み参拝す煩悩の鐘いんいんと浸む           岩川正夫
四、若きころ幸せうすく無茶したと手首の傷見せさみしく笑う        山本光雪
五、つつがなく五百回記念歌会にあいしこと九十才を越え得しことも     田村千代子
六、しらしらと朝は雪にあけそめて人住まぬ家墨絵のように         東山貴子
七、在りありと思ひ出しけり湯殿山の湯をふく岩を渡りしことを       高田八重子
八、雪しまく二番ホームに独り立ち雄ごころ研ぎてまつ終列車        平島正義

 

「私の好きな一首」 

  語られぬ湯殿に羽黒は霧にまぐれ十三夜の月月山にあり

   十四番目の歌集「風騒思女集」 山中 千恵子      高田 八重子

 清遠1月新年歌会(第499回)詠草  平成28年1月10日(日)10時 しるばにあっぷる

 

一、幸ふと念じるままに色紙に書き耳底にひびく除夜の鐘音           関口 玲子
二、三が日明けてはじめのごみ置場布袋のふくろが山と積まれて         山内 瞳 

三、息子より銘屋久島の酒とどく縄文杉のごと長生きせよと         岩川 正夫
四、ザクザクと登る山道息白し 風ふかば吹け雪ふらば降れ           山本 光雪
五、うすぎぬをまとひたるごと初雪の庭の松・樹々 賀状をかかう            田村 千代子
六、寒雀あし跡のこす雪の畑春を待たなん若菜摘まん                    東山 貴子
七、九十九里の海の香りも聞きませと水仙とどく友の庭より                 髙田 八重子
八、正月を髑髏さげつつ闊歩せる風狂の僧夢にさへ浄し                   平島 正義

清遠12月歌会(第498回)詠草  平成27年12月12日(土)10時 しるばにあっぷる

 

一、吹きやまぬ風に桜葉あかあかく散りぼふ群舞わが身を囲む        関口 玲子
二、木枯らしに窓叩かれて思いやる故郷襟裳の荒ぶ大地を          岩川 正夫
三、返すべき言葉もなくて包丁の刃先でえぐるりんごの芯を          山本 光雪
四、くさもみじあかくもえたついかり草ひとりっきりのコーヒータイム     田村 千代子
五、マリア様の星とも呼ぶ明けの星友との京のホテルの窓辺         東山 貴子
六、天空のたましひ降りてあそびけらしはらはらとちる通草のもみじ     髙田 八重子
七、鋭どかることば互みに吐き吐かれ屈折のわが陰 窓は映せり         平島 正義

清遠短歌会 500回記念歌会 2016年2月14日(日) 金剛  (欠席 関口玲子さん)

手前左から、高田 八重子・東山 貴子・田村 千代子・山内  瞳 上左から岩川 正夫・平島 正義・山本 光一

清遠短歌会 会則

第1条  (名称)
           本会の名称を「清遠短歌会」と称する。
第2条 (短歌)
     本会は個の存在を重んじ、自由な歌風を基調とするものである。
第3条  (事務局) 
           本会は、NPO法人青森県福祉サポート協会内に置く。(八戸市大字田向字毘沙門2-2)
    事務局は会の所在地とする。
    電話 0178-38-7070 ・ FAX 0178-38-7071 ・ メールアドレス (宛先 silver@apple-npo.com)
第4条  (会員資格)
     本会は、当会の会則を遵守し、短歌を愛好する会員で構成するものとする。
第5条    (目的及び事業)
           本会は、短歌を愛好・相互研鑽し、親睦を図ることを目的とする。
     事業として毎月1回の短歌会・新聞・情報誌・ホームページなどへの掲載及び目的に必要        な事業を行なう。
第6条    (役員・会員)
           1 本会運営のために、次の役員を置く。役員の任期は、1年とし、再任を妨げない。
       代表        1名
           事務局長    1名
                 会計担当  1名(会計は役員を兼務することができる)
       正会員 原則として例会に出席し、投稿短歌を批評できる。
       準会員 例会には出席しないが、短歌を投稿できる。(ハガキ・FAX・Eメール)
           出席できない会員は、自作短歌のコメントを50字以内で添付すること。
           短歌は、例会において出席会員より批評され添作されることもある。 
      2  各役員の職務は次のとおりとする。
               代表は、本会を代表して会を総括し、歌会を招集し対外交渉を務める。
               事務局長は、代表を補佐し、これを代行する。
     会計は、会費を徴収し記録などの役務を担当する。
第7条   (歌会)
              本会の歌会は、月1回の例会とし、年に一度は吟行会とする。
      総会は年1回(4月歌会時)とし、運営会議は必要に応じ代表が会員に呼びかけ開催する。
第8条    (定足数)
            本会の総会・運営会議は、正会員出席数の3分の2以上で議案は成立する。
第9条    (運営)
         本会の運営は、徴収する会費をあてる。
第10条    (会計・会費・会員期間)
   1   正会員年会費  4,800円(月400円)
     準会員年会費 3,600円(月300円)。内 年1,200円(月100円)は情報誌(年6回)の送料等
     会費納入は、一括で直接会計に支払うか、もよりの郵便局から、会指定の郵便口座に
     振込むこととする。
              名義人 清遠短歌会  記号 18470  口座番号 24210901 
    2 会費は、入会月からの月割とする。会費は事務消耗品、会場費、通信費等に使用する。
     ※会議・懇親会・吟行会など実施の際は、実費を徴収する。
    3 会員期間は4月1日から翌年3月31日とする。
第11条  (変更)
          この会則は、総会及び臨時総会において、出席者の3分の2以上の承認があれば変更できる。 
  付則    この会則は、平成 28年 4月 1日より施行する。
      本会則にない事項については、正会員3分の2以上をもって決めることができる。